中村さんのために、映画を作ることになった。
といっても、何を作ったらいいのかよく分からない。一番やりやすいのは、中村さんが見たいイメージを映像化することだろう。しかし中村さんは普段から自分で映像を作っている。わざわざ僕が出向いてまで、彼の脳内を実写化する必要はないように思われた。
となると、映画という形式を借りた中村さん宛の手紙を作るほかない。ただ、ここでも困ったことが起きる。我々は赤の他人同士。よく知りもしない相手に向けたメッセージなんてない。手紙を書こうにも、僕の筆は進まずにいた。
といっても、何を作ったらいいのかよく分からない。一番やりやすいのは、中村さんが見たいイメージを映像化することだろう。しかし中村さんは普段から自分で映像を作っている。わざわざ僕が出向いてまで、彼の脳内を実写化する必要はないように思われた。
となると、映画という形式を借りた中村さん宛の手紙を作るほかない。ただ、ここでも困ったことが起きる。我々は赤の他人同士。よく知りもしない相手に向けたメッセージなんてない。手紙を書こうにも、僕の筆は進まずにいた。
そもそも、人間はどうやって仲良くなるのだろう。ここで僕は、シェアハウスの夜を思い出す。
じつは今、僕には自分のための部屋がない。シェアハウスに住んでいて、寝るときもルームメイトと相部屋。しかも引っ越してくるまでは面識のなかった人間と、布団を並べて寝起きしている。特に最初の1、2ヶ月は、度々不眠に悩まされた。
でも半年以上が経って、僕はこのルームメイトたちとの間に、奇妙な連帯感を感じている。彼らが日中どういうことをしているのかは正直よく分かっていないのだが、寝床というプライベートな空間で同じ時間を過ごしているからこそ分かる相手の癖であったり、人となりというものがあるのだ。こうやって、人と仲良くなる方法もあるということだ。
これを、中村さんともやってみようと思った。「一緒に寝させてください」という、相手によれば変人扱いされかねない僕の提案に、彼は快く応じてくれた。そうやって出来たのがこの寝床タイムカプセルである。寝床で他人と一緒に過ごす際に生じる、不思議な時間の流れ。それが映像という名のタイムカプセルにうまく閉じ込められていたら本望だ。
じつは今、僕には自分のための部屋がない。シェアハウスに住んでいて、寝るときもルームメイトと相部屋。しかも引っ越してくるまでは面識のなかった人間と、布団を並べて寝起きしている。特に最初の1、2ヶ月は、度々不眠に悩まされた。
でも半年以上が経って、僕はこのルームメイトたちとの間に、奇妙な連帯感を感じている。彼らが日中どういうことをしているのかは正直よく分かっていないのだが、寝床というプライベートな空間で同じ時間を過ごしているからこそ分かる相手の癖であったり、人となりというものがあるのだ。こうやって、人と仲良くなる方法もあるということだ。
これを、中村さんともやってみようと思った。「一緒に寝させてください」という、相手によれば変人扱いされかねない僕の提案に、彼は快く応じてくれた。そうやって出来たのがこの寝床タイムカプセルである。寝床で他人と一緒に過ごす際に生じる、不思議な時間の流れ。それが映像という名のタイムカプセルにうまく閉じ込められていたら本望だ。
映画館とは違う、1人の観客に届けるのにふさわしい上映空間があるような気がして、布団=スクリーンに添い寝できるような空間も作ってみた。中村さんをクッションの上に寝そべらせ、天井から吊るした羽毛布団の裏側に映像=タイムカプセルを投影する。
「コアだなあ」と言って、中村さんは苦笑する。
「コアだなあ」と言って、中村さんは苦笑する。
協力: 井上国太郎